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痔瘻(あな痔)の日帰り手術
痔ろう(あな痔)の日帰り手術
痔ろうは手術でしか根治できない病気です。日帰り手術が可能ですが、根治性と機能性のバランスがとれた手術を行う必要があるため、研鑚を積んだ外科医の治療が重要になってきます。
根治性と機能性のバランス
痔ろうは手術でしか治せませんが、肛門括約筋が手術で傷つくと肛門の機能が損なわれてしまいます。再発しやすくさせないための根治には、肛門内にあるくぼみである1次口を的確に診断して治療が必要です。
ところが1次口の切開が大きすぎると肛門が変形するなど手術後に肛門機能が損なわれてしまう場合があります。肛門は皮膚であり、とても敏感な知覚を持っています。排便時にだけ便を出すこと、下痢かどうかの判断などのほか、おならと便の違いを判断しておならだけ出すことができるのも肛門の機能が優秀だからです。
こうした機能が損なわれてしまうと日常生活に様々な不便が生じます。そのため、痔ろうの手術では、しっかり治すことの根治性と、機能性の両立が求められます。
また、複雑化した痔ろうは入院治療が必要な場合があります。
痔ろうの手術メリット・デメリット
痔ろうの手術は症状や状態などにより適した術式が変わります。単純な痔ろうが背中側にある場合には瘻管切開開放術、複雑な痔ろうには括約筋温存術やシートン法(輪ゴム法)があります。代表的なこの3つの術式には、それぞれメリットとデメリットがありますので、それをご紹介します。
瘻管切開開放術
メリット:再発率が1~2%と低い
デメリット:背中側の単純な痔ろう以外でこの術式を用いると、肛門が変形する可能性がある
括約筋温存術(くり抜き法)※当院ではこちらの手術は行っておりません。
メリット:肛門機能が温存でき、変形が起こりにくい
デメリット:再発率が15%と高く、手術の難易度も高い
シートン法 ※当院ではこちらの手術は行っておりません。
メリット:再発率が3%と低く、機能も温存できる
デメリット:治療期間が長くかかり、異物感がある
手術の説明
瘻管切開開放術
瘻管を完全に切開し、再び瘻管にならないよう切開した部分を広げて糸で結んで固定します。再発率は低いのですが、括約筋の深部を瘻管が貫いている場合には肛門機能が損なわれる恐れがあるため用いられません。
括約筋温存術(くり抜き法)※当院ではこちらの手術は行っております。
瘻管をくり抜いて1次口を縫い合わせて閉じます。切開しないため括約筋の損傷がなく、肛門機能に関してベストな選択です。ただし、再発率が15%あり、高難度な手術です。
シートン法 ※当院ではこちらの手術は行っておりません。
「輪ゴム法」とも呼ばれる手術です。瘻管に輪ゴムや糸などを通し、強く縛って圧迫します。するとセトンは数週間かけて括約筋を再生しながら瘻管を切離していきます。輪ゴムを数週間装着したままなので、軽い痛みや異物感があります。
シートン法のトレナージ治療 ※当院ではこちらの手術は行っておりません。
肛門周囲膿瘍の切開を行う際、輪ゴムや糸をゆるく通していき、後日強く縛って圧迫するセトン法を行います。肛門周囲膿瘍の切開排膿を行った際に輪ゴムを通しておくことで、後の痔ろう手術を確実かつ容易に行うことができるだけでなく、術後の出血や痛みを大きく抑えることができる治療法です。
1次口閉鎖術 ※当院ではこちらの手術は行っておりません。
1次口を閉鎖することで、痔ろうが治ってしまう場合もあります。再発率が高いのであまりおすすめはできませんが、最初にこの術式で手術を受け、再発したら他の手術を試すという選択肢もあります。
手術後のケア
痔ろうの日帰り手術なら、翌日から普通の生活を送ることが可能です。
手術当日は安静が必要です。ご自宅で静かに療養ください。なお、切る手術の場合には、手術後2~3日の安静が必要になります。
シャワーは手術の翌日から、入浴は翌々日から可能です。
手術後の強い痛み、排便の時の紙に血がついた(3cm程度)、それ以上の出血があった時にはすぐに当クリニックまでご連絡ください。